磯刺し網

 刺し網漁業とは、刺し網と呼ばれる網を使用して行う漁業です。
 刺し網とは、魚が泳いでいるところを遮断するように網を張り、網目に魚類の頭を刺させたり、絡ませたりして捕まえる漁具をいいます。長年の経験により、漁期、漁場を定め、効率よく魚を捕獲する漁法です。刺し網は、網の中でも最も簡単な構造になっており、長い帯のような網の上辺に「浮き」、下辺に「おもり」を付けたもので、垂直方向に網が張るように作られています。

 岩城生名海域では、刺し網のことを「磯刺し網」と呼んでいます。
 磯刺し網とは、名前の通り、磯の周りを旋回しながら網を投入していく手法です。磯刺し網漁は、潮の流れが止まっている時間帯に合せ漁を行います。潮よって、網を沈めている時間も異なりますが、岩城生名地域では「直どり」と呼ばれる手法が一般的で、投入してから15~20分で引き上げます。
 磯刺し網で獲れる魚は、春はタイ、夏はアコウ、冬から春にかけてはカサゴ、タコ、メバルなどで、一年を通し魚種が豊富です。特にアコウ、カサゴなどは大量に獲れる魚ではないので高級魚として、市場でも高値で取引されています。
 一方、「小さな瀬戸」からなる岩城生名海域では、漁が出来る場所が限られており、風、雨、潮などの気象条件によって大きく左右されます。そのため状況の良い時に漁ができるのは週に2~3日。こうした厳しい環境条件の中、長年の経験や巧妙な技術を頼りに漁は行われています。


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